【1歳半〜】両手の奇跡。
「ひも通し」で養う高度な連携プレー
「落とす」を卒業したら、次は「通す」世界へ
ストローやコインを「ポトン」と落とせるようになったお子さんが、次に興味を持つのが、穴の空いたビーズやドーナツ型のおもちゃです。
でも、いざ紐を通そうとすると、穴の入り口でつっかえてしまったり、通ったのに引っ張れなくてイライラしたり。
それは、これまで「片手」で完結していた動きから、「左右の手が別々の役割をする」という高度な連携プレー(協調運動)へと進化しようとしている証拠です。
この複雑な脳の司令を、遊びながらスムーズに習得できるのが「ひも通し」のおしごとです。
なぜ「ひも」を通すの?(教育的ねらい)
ひも通しは、単なる指先の運動ではありません。脳梁(右脳と左脳の架け橋)を刺激する高度なトレーニングです。
両手の協応(連携): 左手でビーズを固定し、右手で紐を操作する。左右の手が違う動きを協力して行います。
持ち替え(連続動作): 穴に入れた紐の先端を、反対側から「つまみ直して引っ張る」という、視点の切り替えと指の移動が必要です。
集中力の持続(意志): 長い紐にいくつものビーズを通していく作業は、深い集中力と「最後までやり遂げる」達成感を育てます。
材料と道具
お子さんの発達段階に合わせて、紐の「先」と「太さ」を調整するのが成功の鍵です。
A. 自分で揃える(DIY派)
ポイント: 最初は、先端をセロハンテープでガチガチに巻いて「硬い棒状(3〜5cm)」に加工してください。ふにゃふにゃだと絶対に通せません。
通すもの(ビーズ代わり):
- ホースを2〜3cmにカットしたもの
- トイレットペーパーの芯を短く切ったもの
- 100円ショップの「木製ビーズ(穴が大きめのもの)」
B. ドイツのおもちゃで楽しくマスター(市販のおすすめ)
「紐が柔らかすぎて通せない」「ビーズが小さすぎる」という失敗をなくすためにおすすめなのが、ドイツ・KREMERS(クレマース)社のひも通しパズルです。
ネズミさんがチーズの穴をくぐり抜けるようなデザインで、楽しく「ひも通し」の感覚を身につけることができます。
準備とセッティング
最初は「紐」ではなく「棒」から始めるのがスムーズです。
ステップ0(棒通し)
キッチンペーパースタンドのような「立つ棒」に、ビーズやドーナツ型のおもちゃを上から通す遊びです。これで「穴に通す」感覚を掴みます。
ステップ1(ひも通し)
紐の片端を、ビーズが抜け落ちないように大きな結び目を作るか、割り箸などを結びつけてストッパーにします。
遊びへの誘い方(提示)
「通して引っ張る」という動作は、言葉では伝わりません。スローモーションで見せましょう。
- 位置: お子さんの利き手側に座ります。
- 実演(無言で):
- 左手でビーズを持ち、穴が見えるように構えます。
- 右手で紐の「硬い先端」を持ちます。
- ゆっくりと穴に差し込みます。
- ここが重要: 反対側から先端が顔を出したら、一度動きを止めます。
- 右手を離し、反対側に出た先端をつまみ直します(持ち替え)。
- そのままシュルシュルと最後まで引っ張ります。
- 「出たね!」と喜びを共有し、「やってみる?」と手渡します。
最初は「差し込む」ところまでをお子さんがやり、「引っ張る」ところを大人が手伝う「共同作業」でも構いません。